金環日食~宇宙の雑学まとめ~

宇宙と雑学大好きなブログ。宇宙はどれだけ壮大なんだろう。

世界の月の神様についてまとめてみた

アルテミス、ディアーナ、コンス、嫦娥ツクヨミ…。

月にまつわる神は世界中の神話に見られます。

 

前回解説したように、月は見かけ上、太陽とほぼ同じ大きさで空に浮かんでいます。そここに古代の人々は神性を見出したのでしょう。

 

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月には不思議な魅力があります

 

今回は、世界中の月にまつわる神話をもとに、人類が月という天体をどう見てきたかについて考えてみたいと思います。

 

 

 

人類が月に抱くイメージ

 

世界中で太陽神が権力や支配者と結び付けられたのに対し、月神寿命や性、庶民と結び付けられました。

 

月神について調べると、このような記述を目にします。

太陽がまさしく「空の王」として燦々と輝いているのと比べ、月の輝きはどことなく地味に見えてしまうのでしょうか。もしくは一ヶ月周期で満ち欠けをするため、不安定さを感じてしまうのでしょうか。

世界中の神話において、月神には太陽神ほど「絶対的な力」を感じさせるエピソードは多くありません。

 

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太陽と月は「対の存在」として扱われることが多いのです

 

しかし、人類にとって月は特別な存在です。

特に、神話を語り継いできた庶民にとって、夜の暗闇を照らす存在として、月には特別な思いがあったのでしょう。

「寿命や性」という、人類に欠かせない要素と結び付けられたのもそんな背景があったからでしょう。

太陽のような絶対的な力はないものの、不思議な力を感じさせる存在」として、月神は世界中の神話で面白い活躍をしています。

 

女神としての月

世界中の神話を見てみると、月神女神であることが多いです。

その理由として、月は一ヶ月周期で満ち欠けをすることから、女性の月経の周期と関連付けられたという説があります。

言語学的に見ても、英語で「月経」を表す単語である「menses」は、カレンダーの「月」を表す「month」や、空にある「月」を表す「moon」から派生した言葉だと考えられています。

 

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月経の周期と月の満ち欠けには関係があるそうです

 

女神としての月神で有名な神は、ギリシア神話アルテミスでしょう。また、中国神話の嫦娥についてご存じの方もいるかもしれません。ここでは、この二柱の神について解説していきます。

 

ギリシア神話の「アルテミス」

アルテミスという神を一言で表すなら、「怒らせると怖い女神」といったところでしょうか。

 

アルテミスはギリシア神話の処女神で、主神ゼウスと女神レトの娘です。有名な神アポロンの双子の妹になります。

アルテミスは「月の女神」の他に、「狩猟の女神」という側面もあります。

「怒らせると怖い」と書いた通り、アルテミスを怒らせた者は大抵悲惨な最期を迎えています。例えば、オリオン座で有名な狩人オリオンに対しサソリを贈りつけ、オリオンはそのサソリの毒で死ぬこととなりました。また、水浴びしていたアルテミスの裸を見た狩人アクタイオンは鹿に変身させられ、犬のエサにされました。

 

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怒ると何するか分からない神っているよね

 

この女神だけは絶対に怒らせてはいけませんね。

 

中国神話の「嫦娥

嫦娥(じょうが)は、月の世界に住むといわれる仙女です。

 

中国神話において、「仙人」「仙女」は不死の存在としてみられています。

古代中国の道士たちは、修行によって「仙人」になり、永遠の寿命を得ようとしていたようです。

 

そんな憧れの仙女である嫦娥ですが、何と月から地上に下りた際に不死ではなくなってしまいました。

そのため、嫦娥の夫である后羿が持っていた不死の薬を盗んで飲み、月に逃げ去ったといいます。

その後の嫦娥は醜いカエルに化けてしまったとも、一人寂しく孤独を感じ続けているともいわれています。

 

この「嫦娥伝説」ですが、現代日本でも行われているとある風習の起源になっているといわれています。

それは「月見」です。

嫦娥の夫である后羿が、離れ離れになってしまった嫦娥をより近くで見るため、月に向かって供え物をしたことが月見の由来であるそうです。

 

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いなくなってしまった妻に会いたいという思いが生んだ行事

 

月見には少し悲しい由来があったのですね。

 

男神としての月

 

世界中の神話には、月神男神としているものもあります。

有名所を挙げると、メソポタミア神話のシンや、日本神話のツクヨミなどでしょうか。

また、月神男神としている神話では、太陽神が女神である場合が多いです。

イメージしやすいのは日本神話女神アマテラスでしょう。

やはり、月と太陽対の存在として扱われたのでしょう。

 

それでは、代表的な男神としての月神について解説していきます。

 

メソポタミア神話の「シン」

 

メソポタミア神話において、月神は天界の神々のなかで最高位に置かれました。

太陽神シャマシュと金星の女神イシュタルは月神シンの息子と娘です。

シンは南メソポタミアのウルを中心として厚く崇拝されたそうです。

 

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シュメール人宇宙人説割と好き

 

また、シンは「大地と大気の神」や、「暦の神」、「豊穣神」としての側面も持ち合わせていました。

特に、「暦の神」としてのシンは「遠い日々の運命を決める」力を持っていたとされており、神々の中で最高の計画力を持っていたそうです。

 

やはり、一ヶ月周期で決まった満ち欠けをする月は、特別な存在だったのでしょう。

また、月神が太陽神よりも高位の神として扱われていたのは少し意外ですね。

 

日本神話の「ツクヨミ

 

ツクヨミは、日本神話に登場する月の神です。太陽神アマテラスの弟になります。

日本ではかなり有名な神なので、ご存じの方も多いかもしれません。

 

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日本神話の神々の知名度が高いのはこの漫画の影響もあると思う

 

ツクヨミは破天荒な性格で、姉であるアマテラスを度々困らせたそうです。

日本書紀では、穀物の神「ウケモチ」を切り殺してしまい、それに怒ったアマテラスが「もう弟とは会わない」といったために、太陽と月がそれぞれ昼と夜に空に上るようになったと書かれています。

 

ちなみに、同じくアマテラスの弟として有名な神が「スサノオ」です。ご存じの通り、スサノオはアマテラスの「岩戸隠れ」の原因となった神です。

アマテラスは弟たちに悩まされてばかりですね…。